【ボートレース】山ノ内雅人 遅咲きの努力家 試練を糧にA1級返り咲き目指す/2022イチ推し選手

記者が選んだ2022イチ推し選手⑨
強い気持ちと日々の努力で、再びA1級返り咲きを目指す山ノ内

長かったB級暮らし 家族支えに奮起

 遅咲きの花…と呼んでもいいだろう。デビューから丸3年間はB2級暮らし。B1級暮らしも6年間と長かった。デビュー期には体重が60キロを超えたこともあり、「新人の時は6着ばかりで面白くなかったし、甘えがありましたね」と振り返る。

 転機は結婚して子どもが生まれ、家庭を持ったこと。管理栄養士の妻の協力もあり、60キロを超えることもあった体重は、今やレースでは52キロをしっかりキープできるようになった。体重が軽くなればエンジンの出方が変わってくる。何よりも「子どものためにも頑張りたい」と、メンタルが強くなった。

 10年目の20年後期に初めてA2級の昇格。次の期もA2級を確保すると、21年後期には勝率6・40の自己ベストで、初めてA1級に昇格を果たした。昨年2月の宮島では、地元の前本泰和に競り勝って、11年目にして初優勝も達成した。

出走表に載る「A1級」のプレッシャー

 ただ、A1級からは1期で降格。予想外の壁にぶち当たってしまった。「出走表にA1級と載っているのがプレッシャーでしたね。エンジンが出ていなくても無理したり、事故したりで…」。人気を背負い、勝たなければならないという重圧に、自ら負けてしまった。

 しかし、これも貴重な経験。今後のレーサー人生の糧になるのは間違いない。年末にはデビュー水面の若松で2回目の優勝を飾り、失いかけていた自信も少し取り戻せた。

 「本当は目先のこんな目標ではダメなんですが…」と前置きしながら、「昨年は2回優勝できたので今年は3回の優勝が目標。芦屋と福岡でも優勝したい」と前を向く。遅咲きの努力家は、今年もさらなる飛躍の可能性を秘めている。(井上 誠之)

◆山ノ内雅人(やまのうち・まさと)1991年2月19日生まれ。30歳。福岡県小竹町出身。福岡支部。107期として10年11月若松でデビュー。12年11月唐津で初白星。21年2月に宮島で初優勝。12月に若松で2回目の優勝を飾る。師匠は宮田政勝で筑豊軍団の一員。高倉和士は兄弟弟子。生涯獲得賞金は約1億6470万円。174センチ、54キロ、血液型O。

(終わり)

(2022/1/11紙面掲載)

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