【フルコンタクト空手】多田成慶 軽重量級Vの勝因は足の太さ!? 前平斗真、大坪裕希ら新極真会福岡支部大健闘/JFKO全日本大会
- 2022/6/3
- 新極真会
第7回全日本フルコンタクト空手道選手権 2022年5月21、22日・エディオンアリーナ大阪
「第7回全日本フルコンタクト空手道選手権(JFKO)」が、大阪市のエディオンアリーナ大阪で開かれた。フルコンタクト空手の階級別日本王者を決める大会で、男女別の5階級で熱戦を展開した。福岡支部からは男子20人、女子4人が出場し、「軽重量級」で多田成慶(22)が初優勝を果たした。「軽中量級」では前平斗真(22)が準優勝、大坪裕希(22)が3位と健闘。「重量級」の亀山真(29)は準決勝で、「軽重量級」の江口雄智(25)は準々決勝で敗れ、ともに大会連覇を逃した。
多田成慶(軽重量級)実直な人柄の新王者 決勝5-0で圧倒
カギ突き、強烈下段攻撃⇒残り1分猛然ラッシュ
軽重量級を制した多田のインタビューで、会場がどっと沸いた。緊張からか、受け答えが、どこかたどたどしい。「初めてなので、うれしいです…」。勝因を問われると、「足が太くなったので」。実直な人柄がにじむユーモラスな受け答えに、再び会場の雰囲気が和んだ。
そんな素朴な王者だが、組手では相手を圧倒した。初戦から得意のカギ突きと強烈な下段で、前へ前へと圧力をかけ続けた。決勝でも、渡辺和志をパワーで押し込むと「本戦で決めようと思っていた」と、残り1分で猛然とラッシュ。旗判定5―0の完勝だった。
下半身強化で下段の力強さアップ
転機は2020年の全日本大会だった。無差別級の日本一を決める大会で8強入りし、無名選手の名が全国に知れ渡る一方、「自分に足りないものが分かった」と多田。頂点との距離を感じることができた経験は大きかった。
この大会後、ジムで下半身の強化に取り組み、太ももは見違えるように大きくなった。下段の力強さが増し、21年の全日本大会では準Vと飛躍。「レベルの高い福岡支部で練習していると、仲間と一緒にもっと頑張ろうと思える」と稽古にも実が入り、驚異的な成長曲線を描いた。
9月全世界ウエイト制で世界一目指す
9月にポーランドで開かれる「第7回全世界ウエイト制大会」の日本代表にも選出されている。ここまで来たら、次に見据えるのは当然、世界の頂だ。
いじめられたのをきっかけに、4歳で始めた空手。父親に手を引かれ、おずおずと道場に足を踏み入れた少年は、強くなりたい一心で練習を重ね、長い年月を経てついに頂点に立った。「もっともっと頑張りたいです」。さらに上を目指し、稽古に励む覚悟だ。これまで通り、ひたむきに、実直に。(加藤 博之)
▼2回戦 ○4-0 刀禰篤丈(白蓮会館)
▼3回戦 ○4-0 遠田竜司(新極真会江戸川道場)
▼準々決勝 ○5-0 湯川智仁(新極真会群馬支部)
▼準決勝 ○5-0 鳥原隆司(新極真会宮崎中央道場)
▼決勝 ○5-0 渡辺和志(新極真会世田谷・杉並支部)
前平斗真(軽中量級)快進撃準Vも「ただただ、悔しい」
準々決勝は下段蹴りでV候補撃破
全階級の中で最多の87人がエントリーした軽中量級で前平が快進撃を見せ、準優勝した。決勝では、昨年準Vの実力者・岩多陽勇に惜しくも敗れたが、気迫あふれる組手を披露した。
互角以上の戦いを繰り広げていた決勝。得意の接近戦に持ち込んだが、押しで2度の注意を取られたのが痛かった。旗判定は0―5。優勝には届かず「ただただ、悔しい」と口にした。
それでも勝ち上がりでは、前平らしさがあふれた。準々決勝では昨年覇者でV候補の山崎亮輝に判定5―0で勝利。距離を詰めて相手の持ち味を殺し、近距離からの下段蹴りで勝利を呼び込んだ。準決勝は同じ福岡支部の大坪を下した。
一時は82キロあった体重を絞り込み、今大会は1階級落として68キロで臨んだ。昨年の重量級の覇者・亀山真と日頃から稽古していることもあり、「打ち合いになったら負けない」と臨んだ今大会。終始、落ち着いた組手を見せた。
元々、潜在能力は高く、今大会の準Vでその実力を証明した。来年からはマークもきつくなるが、「もっと技を増やしたいですね」と、さらなる飛躍を誓った。
▼2回戦 ○5-0 木下星七(金剛カラテ)
▼3回戦 ○0-1、5-0 中山星音(桜塾)
▼4回戦 ○4-0 大橋伊織(新極真会兵庫中央支部)
▼準々決勝 ○5-0 山崎亮輝(水滸會丈夫塾)
▼準決勝 ○5-0 大坪裕希(新極真会福岡支部)
▼決勝 ●0-5 岩多陽勇(全真会館)
大坪裕希(軽中量級)3位 磨いた突き中心に攻撃さえる
高地トレーニングで心肺機能強化
大坪は軽中量級の準決勝で前平に敗れたが、大会を通じて健闘が光った。磨いてきた突きを中心とした攻撃がさえわたり、4回戦ではV候補の大野篤貴を延長の末、気迫あふれる組手で下した。「他流派を勝ち上がらせる訳にはいかなかった」と振り返った。
9月の「世界ウエイト制大会」軽量級の日本代表に選ばれており、袖に縫い付けられた「日の丸」に恥じない戦いぶり。高地トレーニングスタジオ「ハイアルチ」(福岡市)で鍛えてきた心肺機能の効果もあり、スタミナ面での不安も感じさせなかった。
仕事を辞め、昨年10月からは内弟子となって、空手指導員として子供らに教えている。3位という結果には満足していないが、「生徒に、いい報告ができますね」と話した。
▼2回戦 ○5-0 柏田悠希(淑徳巣鴨空手道部)
▼3回戦 ○5-0 堀江俊明(新極真会大阪東部支部)
▼4回戦 ○0-1、5-0 大野篤貴(武奨館)
▼準々決勝 ○4-0 福永匠真(KWF極真会館)
▼準決勝 ●0-5 前平斗真(新極真会福岡支部)
亀山真(重量級)連覇届かずも痛みに耐え3位入賞
9月世界戦へ「しっかり治す」
亀山の重量級連覇はならなかった。準々決勝までは順調に勝ち上がったが、準決勝で後藤優太に上段膝蹴りで技ありを2本取られ、一本負けを喫した。大会前の練習中に痛めた左胸が準々決勝の試合中に悪化。本調子ではなかったことも響いたようだ。9月の世界ウエイト制大会に照準を定めており、「しっかり治して、間に合うように練習します」と話した。
▼2回戦 ○5―0 逢坂岳(新極真会徳島西南支部)
▼準々決勝 ○5―0 河合透吾(修武會)
▼準決勝 ●合わせ一本(上段膝蹴り、上段膝蹴り) 後藤優太(空手道MAC)
(2022/5/31紙面掲載)
※新聞紙面(5月31日)では福岡支部から出場した他選手の結果を掲載 <バックナンバ-お買い求め方法>