【ボートレース】「引退勧告ルール」抜本的改革進むか

ベテラン選手に厳しい現状

 昨年後半から今年にかけて、ボート界ではベテラン選手の引退が相次いでいる。十分にやりきって引退する選手もいれば、持病や体の故障からやむなく現役を退いた選手もいる中、選手会が定める引退勧告のルールに抵触してしまい、不本意ながら引退に追い込まれた選手も実は多い。

 選手会には「競走の公正確保及び競技水準の向上化に関する規定」というものがある。ファンにも知られているのは、4期通算勝率が3・80を下回った選手の引退(ただし、デビューして3年以内の新人を除く)。若くして引退している選手はほぼ、このルールに抵触している。

 もうひとつはあまり知られていないが、選手数が1600人を超えた場合のみ、デビューから33年以上のベテランを対象に、4期通算勝率が4・80を下回っている選手の勝率下位から順に、選手数が1600人になるまで足切りするというルールがある。

選手総数の見直しなども必要か

 前期は10月31日時点の選手数が1611人だったのでこのルールが適用され、33年以上のベテラン選手11人が引退に追い込まれた。しかし、「ベテランに対するルールが厳しすぎる」などという声を受け、3月7日に開催された選手会の理事会で一部ルールの変更が決定した。

 それは期末時点の選手数に、これまでは加算していた次の期にデビューする新人選手を加算しないこと。そうすることにより、選手数が1600人を超えることが当面なくなり、4期通算勝率が4・80を下回っているベテラン選手の引退が回避できるようになる。

 ただ、これはあくまでも暫定的な措置で、根本的な引退勧告のルール自体に変更はない。今後はベテランにのみ厳しい現状ルールの変更や、1600人と定められている選手の適正人数の見直しなど、さらに抜本的な改革が進められるかもしれない。 (井上 誠之)

(2023/3/15紙面掲載)

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