【ボートレース】芦屋の“モンスター”ボート16番

「こんなボート乗ったことがない」という声も

 ボートレースでは時折すさまじい威力を発揮するモンスターエンジンが出現するが、今の芦屋にはすさまじい成績を残す“モンスター”ボートがある。2連対率56・6%、勝率は7・02(3日現在)。一流の証しであるA1級の、さらに上に位置する勝率7点台をマーク。平均値からかけ離れた断トツの成績を残すのが16番のボート=写真=だ。

 これには一つのカラクリがある。これまで21人の乗り手の内、20人がA級選手。選手の平均勝率は6・40で2連対率も48%に達する。驚くほど乗り手に恵まれてきたボートなのだ。

 とはいえ、それで片付けてしまうようなものではない。履歴を振り返ると機力評価に△は一つもなく、節一級に強力だった選手は数多い。個人的見解を加えると、このボートとセットになるエンジンは素性評価を割り引く必要が生じる。最近ではしっかり認識しているが、以前はエンジン評価を誤ってきたと思えるほど。その内実もモンスターボートと呼ぶにふさわしい。

 選手からも絶賛の声が上がる。最も印象的なのは地元の石川真二。一度このボートで優勝を経験し、次の機会ではエンジンではなくボートの抽選に気を配り、見事に16番を引き当て満面の笑みだった。その他にも強烈な仕上がりになる選手は多く、「こんなボート乗ったことがない」、「乗らせてもらってありがたい」という声も耳にした。

8日初日ヴィーナスシリーズで使い納め

 そもそもボートの評価は不透明。取材した限り、選手がボートの良さを明確に感じることはないという。何がいいかは分からないけど、確かにいい。実質はブラックボックス。それでもエンジン素性や、過去の経験、実感などから、何か力を感じる。それが繰り返されることでボートの恩恵を確信するに至るのだと思う。

 8日から始まるヴィーナスシリーズ後、現行ボートは更新される。乗り手に恵まれるという類いまれなるツキと、目に見えないが確かにある威力を持つ16番ボート。その最終節をしっかり見届けたい。(中村 雅俊)

(2022/4/6紙面掲載)

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