【ボートレース】焼き肉店「炭火豊伝」を営む元ボートレーサー田崎豊さん

福岡市内で焼き肉店を営む元ボートレーサーの田崎豊さん

かつてのライバルと仲間に支えられて

 赤坂俊輔が1着インタビューを受けているのを見て、おやっと思った。着ていたTシャツには牛のイラストが描かれており、「炭火豊伝」とあった。徳山で広次修が同じTシャツを着ているのを見かけ、聞いてみた。「同期の田崎が福岡市内で焼き肉店を開いているんですよ」

 福岡市早良区の「炭火豊伝」を営むのは、元ボートレーサーの田崎豊さん(41)だ。赤坂や広次と同じ90期で、優勝こそなかったものの通算214勝を挙げた。2017年5月に引退。実家が精肉店という境遇と、亡くなった叔父の焼き肉店が閉店状態だったこともあり、1年ほど肉の勉強をした後、18年7月に開店した。

 店頭の「炭火豊伝」という大きな看板とTシャツの文字は、達筆で知る人ぞ知る下河誉史が書いてくれた。清潔感あふれる広々とした店内には、ボートレーサーのサイン色紙がずらりと並んでいる。

 「先輩の日高(逸子)さんや山一(鉄也)さんもよく来てくれます。同期の石野(貴之)も九州に来た時に寄ってくれるし、うれしい限りです」。かつて水上でしのぎを削ったライバルたちが訪れ、昔話に花が咲くこともしばしば。仲間に支えられていることに感謝する日々だ。

レーサーだった頃と変わらない熱い思い

 新型コロナウイルスの影響で20年4月、全国に緊急事態宣言が出され、飲食業界は打撃を受けた。田崎さんの店も半年以上の休業を余儀なくされた。

 「悲しかったけど仕方がない。今では休業前ほどではないけど、お客さんも少しずつ戻りつつあります。これから、また頑張らないと」。現役時代52キロだった体重は62キロになった。それでも、お客さんに満足してもらいたいという熱い思いは、レーサーだった頃と変わらない。 (田原 年生)

(2022/9/14紙面掲載)

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