【フルコンタクト空手】多田成慶まさか初戦敗退 福岡支部男女とも8強逃す/第54回全日本空手道選手権大会

第54回全日本空手道選手権大会(2022年12月24日、25日、東京・国立代々木競技場第二体育館)

 フルコンタクト空手の男女の日本王者を決める「第54回全日本空手道選手権大会」が昨年12月24、25日、東京の国立代々木競技場第二体育館で開かれた。体重無差別で争われる最高峰のトーナメントに、流派を超えて男子80人、女子34人の選手がエントリー。V候補としてゼッケン「1」を背負った福岡支部の多田成慶が、初戦で敗れる波乱となった。同支部からは男子9人、女子2人が出場したが、男女とも8強入りを逃した。男子の優勝は入来建武(東京城南川崎支部)、女子は鈴木未紘(厚木赤羽支部)だった。(加藤 博之)

【男子】

まさかの初戦敗退となった多田(右)(新極真会提供)

多田成慶 開始わずか19秒

 まさかの結末だった。V候補として臨んだ多田がわずか19秒で初戦敗退した。相手は藤岡元。多田は緊張からか立ち上がりから動きに硬さが見られ、間合いが近くなったところで、藤岡の左上段膝蹴りで顎を打ち抜かれた。

 尻餅をつくように、ゼッケン「1」が崩れ落ちる。一瞬何が起こったのか分からないといった表情を浮かべた。一本負け。「その瞬間の記憶がないです。何もしないうちに終わってしまった」と言葉を絞り出すのがやっとだった。

 前々回が6位、前回は準優勝。今大会は周囲の期待も大きく、「優勝して、いろんな人に恩返ししたい」と挑んだが、一撃必殺の怖さを痛感した。「最悪の試合でした」と振り返る苦い一戦。この悔しさをバネに足元を見つめ直して、再起を誓った。

亀山真 好調滑り出しも無念4回戦棄権

 福岡支部の亀山真=写真右=は4回戦を棄権した。初戦で一本勝ちを収めるなど、好調な滑り出しだったが、初日を終えた時点で負傷していた左胸の痛みが再発。大事を取り、改めて世界大会の出場権を目指すことにした。

 痛みが出たのは筋断裂で4か月間全く動かすことができなかった箇所だ。試合後、亀山は「調子は良かった。ここで無理をしない方がいいという判断になりました」と無念の表情。しっかりと完治させ、5月のJFKOで世界切符を取りに行くつもりだ。

江口雄智 初戦復調の兆し

 福岡支部の江口雄智=写真右=は3回戦で、重松翔に延長2―3の判定で惜しくも敗れた。このところ不本意な成績が続いていたが、初戦の田中登也戦で中段突きで技ありを2本奪い、合わせ一本勝ちを収めるなど、復調の兆しを見せた。「これまではどこが悪いのかも分からない状態だったので」と江口。この大会を再浮上のきっかけにしたいところだ。

【女子】

網川来夢 8強入りならず

 福岡支部の女子選手の網川来夢=写真左=は初戦を快勝したものの、3回戦で目代結菜に延長0―5で敗れた。昨年9月の世界ウエイト制大会で3位に入るなど、勢いに乗って臨んだが、8強入りはならなかった。「もう少し膝蹴りを出せていればよかった。体幹をもっと鍛えたい」と悔しがった。


【型演武披露】

渡辺大士四段 迫真の演武披露

 福岡支部で師範代を務める渡辺大士四段が、男女の準決勝を前に型演武を披露した=写真=。渡辺四段は型教則DVD演武者で、ドリーム2014国際大会で優勝経験もある。会場が緊張感に包まれる中、迫真の演武を見せ、観衆を魅了した。10月の世界大会では型競技が初めて行われることが決まっており、型も注目を集めることになりそうだ。


【ネクストチャンプス紹介】

村田哲成「いつかこの舞台で」

「Next Champs」として紹介され、あいさつする村田。右は鈴木成実(厚木・赤羽支部)(新極真会提供)

 昨年7月に開かれたドリームフェスティバルの優勝者が全日本選手権で、「Next Champs(ネクストチャンプス)」として紹介された。ネクストチャンプスは次世代を担う競技者に与えられる称号で、幼年~中高生の組手・型個人・型団体各階級を制した実力者ばかり。中学1年男子重量級で優勝し、ドリームフェスティバル4連覇を達成した福岡支部の村田哲成が代表して「いつかこの舞台に出て、優勝できるよう頑張りたい」とあいさつし、大きな拍手を送られた。

(2023/1/14紙面掲載)

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