【フルコンタクト空手】藤本兄弟 兄・政孝は軽量級、弟・充孝は中量級を制覇/第3回オープントーナメント福岡県フルコンタクト空手道選手権大会

第3回オープントーナメント福岡県フルコンタクト空手道選手権大会(2023年2月19日、福岡市民体育館)

 直接打撃を行うフルコンタクト空手の第3回オープントーナメント「福岡県フルコンタクト空手道選手権大会」が2月19日、福岡市民体育館で開かれた。幼年の部から壮年の部まで57部門に、福岡県内の17流派511人がエントリー。各階級の王者を決めた。一般男子軽量級の藤本政孝(18)=新極真会豊前=と、中量級の藤本充孝(16)=同=は兄弟でチャンピオンとなった。重量級は高市凌(25)=新極真会北九州本部=が優勝。女子フルコンタクトの部を川口風香(17)=極福本会館=が制した。

軽量級と中量級を制した藤本兄弟。軽量級の兄・政孝(左)と中量級の弟・充孝はトロフィーを手に喜んだ
果敢に志和を攻め立てる藤本政

一般男子軽量級の部/藤本政孝 優勝 ブランク感じさせない安定した試合運び

 第1回大会に続き、藤本政が、再び頂点に立った。第1回の決勝では弟・充孝との兄弟対決を制し、第2回は出場せず。2度の参戦でいずれも優勝という結果に「うれしいです」と、短い言葉ながら余裕すら感じさせる笑みを浮かべた。

 決勝の相手は志和蘭丸。同世代だけにライバル意識もあったのか、開始直後は互いに間合いを取り、相手の出方を探る展開に。最初に動いたのは藤本。下段蹴りから距離を詰めて行く。「志和選手は前蹴りがうまかった」と振り返ったが、臆することなく果敢に攻め続け、得意の下突きで次第にペースを握った。

 「終盤のラッシュでコート際に追いやることに手応えを感じていた」。残り10秒で、身長が10センチ近く高い志和を相手に上段後ろ回し蹴りを仕掛けるなど、最後まで攻撃の手を緩めなかった。判定4―0。本戦できっちりと決着をつけた。

 昨年5月のJFKO全国大会以来の試合とあって「スタミナに課題を感じた」。それでも実戦から遠ざかっていたことを全く感じさせない、安定した試合運びだった。

筋力トレーニングの成果を発揮して頂点に立った藤本充

一般男子中量級の部/藤本充孝 優勝 中量級最年少!筋トレ効果で手応えあり

 階級を中量級に上げた藤本充が、目前で軽量級を制した兄に続き、チャンピオンとなった。今大会の中量級では最年少。「中量級では小さい方なので、とにかく体を大きくするために筋力トレーニングに励んできた」。決勝の相手の宇田川春稀は、昨年末の全日本空手道選手権大会に出場した実力者。大会に向けて取り組んできたことを発揮するには申し分ない相手だ。

 作戦は「余計な動きで体力を使わずに的確に攻撃を当てていく」。相手の打撃にパワーを感じつつもうまく防御しながら、持ち味の力強い突きを浴びせ続けた。最後の猛ラッシュでは突きに織り交ぜた膝蹴りが何度も相手をとらえた。判定3―0。本戦で決着をつけた。

 「久しぶりの試合で肩に力が入ってしまった。もっとリラックスしなければならない」と反省の言葉が出たが、「決勝戦では自分の空手ができた」と確かな手応えも口にした。

 兄・政孝に軽量級の決勝で敗れてから、約2年。体、実力ともに一回り成長した姿を見せた。


悲願の初優勝。高市からは思わず笑みがこぼれた

一般男子重量級の部/高市凌 JR九州車掌が9月大会のリベンジV飾る

 下段、下段、そしてまた下段。高市は懸命に、得意の下段蹴りを繰り出した。「下段一本でやってきたので。自分を信じていきました」。本戦5―0で決着をつけ、誇らしげに胸を張った。

 どうしても勝ちたい理由があった。昨年9月の前回大会では、決勝で山内慎太に敗れ準優勝。頂点に、あと一歩届かなかった。それだけに今大会に期するものがあったのだろう。初戦で8歳下の川元敦仁を破り勢いに乗ると、決勝では7歳下の岩瀬勇翔に対し、堂々と真っ向勝負を挑み、勝利を収めた。まだまだ10代に負ける訳にはいかないという気迫あふれる組手だった。

得意の下段蹴りを繰り出す高市(左)。最後に頼ったのは磨いてきた得意技だ

 今回の優勝で、階級別の日本王者を決めるJFKO全国大会(5月・大阪)への出場も現実味を帯びてきた。「出てみたい気持ちはあります」。もう一つ上のステージでの戦いも視野に入ってきたようだ。

 普段はJR九州に勤務し、車掌として働く。大会に向けては仕事の合間をぬっての練習。簡単ではなかったが、ミットを持つなどして練習に付き合ってくれた仲間がいたから頑張れた。「緑師範、渡辺師範代、山野、亀山、堀先輩、前平選手…。感謝しかないです」と、一人一人名前を挙げ、喜んだ。何より、この優勝は、支えてくれたみんなへの最高 の恩返しとなった。

(2023/3/1紙面掲載)

※新聞紙面(3月1日)では全部門の入賞者名を掲載  <バックナンバ-お買い求め方法

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