【フルコンタクト空手】多田成慶 昨年V再現へ 女子は復帰戦・藤原桃萌に注目/JFKO全日本大会20、21日開催

第8回全日本フルコンタクト空手道選手権(2023年5月20、21日・エディオンアリーナ大阪)

359流派男子270人、女子110人参戦

 空手の男女の階級別日本王者を決める「第8回全日本フルコンタクト空手道選手権(JFKO)」は20、21日、大阪府のエディオンアリーナ大阪で開かれる。直接打撃を行うフルコンタクト空手の359流派から男子270人、女子110人が参戦。男女別の5階級で熱戦を展開する。また、今大会から声出し応援が解禁となる。福岡支部からは男子15人、女子3人がエントリー。男子は、昨年に続く軽重量級制覇を狙う多田成慶(23)に期待がかかる。一昨年の重量級を制した亀山真(30)、同じく一昨年の軽重量級覇者の江口雄智(26)、昨年軽中量級準Vの前平斗真(23)ら実力者からも目が離せない。女子は、けがからの復帰戦となる重量級の藤原桃萌(24)に注目が集まる。なお、新極真会は今大会を、全世界空手道選手権(10月・東京)の日本代表の最終選考と位置づけている。

爆発力を秘める多田。がむしゃらさを取り戻し、連覇を目指す

男子注目選手/多田成慶 悪夢の「19秒KO」拭い去る

 ようやく雪辱の機会が訪れた。多田は昨年12月の全日本大会で初戦敗退した。開始19秒で左上段膝蹴りを受けての一本負けだった。「その瞬間の記憶がない」と振り返った悪夢。ゼッケン「1」を背負い、V候補の一人として臨んだ大会で、一番悔しい思いをした。

 元々、まっすぐに向かっていく、愚直な組手が持ち味。無名だった2020年に無差別級の日本王者を決める全日本大会で8強入り。翌21年には準優勝を果たした。昨年のJFKOを制した後、全世界ウエイト制大会(ポーランド)も準V。日本の軽重量級を代表する選手の一人となった。

 まさかの「19秒KO」から5か月。悔しさを忘れたことは一度もなかった。それを拭い去るには、勝利しかない。「ペース配分とか気にせず、昔のようにがむしゃらに向かっていくスタイルで、一戦一戦勝ち上がって行きたい」。反省を生かし、頂点に立った昨年の再現を狙う。

長く福岡支部を引っ張ってきた重量級のエース亀山

男子重量級/亀山真 エースの意地

 【重量級】2年ぶりの優勝を狙う亀山に期待したい。昨年の大会で左胸を負傷。筋断裂の重傷で4か月間、患部を全く動かすことができなかった。復帰戦となった12月の全日本大会では同じ箇所を痛めて途中棄権。その後はここ一本に照準を絞って調整を続けてきた。今回参戦する福岡支部の中では最年長。「年齢的にもラストチャンスのつもりで臨む」と意気込む。

実力者・江口の復活なるか

男子軽重量級/江口雄智 完全復活へ

 【軽重量級】昨年覇者の多田と一昨年の覇者の江口の2人がエントリー。江口は一昨年の大会を制した後に、不振に陥った。ここにきて、ようやく復調気配で、経験豊富な組手で世界切符を狙う。

 【中量級】4大会連続出場となる藤田春人(20)。昨年の大会では1、2回戦を順調に勝ち上がったが、3回戦で旗判定の末、2―3の僅差で敗れた。「優勝したい。そのためにもまずは2日目に残れるように」と力を込めた。

 【軽中量級】実力者ひしめく激戦区に、福岡支部からも有力なV候補が参戦する。昨年準Vの前平は、突きを中心に技に磨きをかけてきた。「状態はいいです」とうなずく笑顔からは、自信が見て取れた。昨年3位の大坪裕希(23)は準決勝で前平との同門対決に敗れた。それでもその経験を糧に、この一年でさらなる成長を遂げた。「今年は勝ちにこだわっていきたいですね」と、頂点だけを見据える。緑武士(27)も今大会にかける思いは強い。「自分を信じて、やってきたことを出し切りたい」と静かな闘志を燃やしている。

 【軽量級】栄丈太郎(18)、松永颯太(18)、川端総信(18)の3人がエントリー。いずれも10代だけに、若さあふれる組手で強豪に挑んでもらいたい。


大けがからの復帰戦となる藤原。悔しい思いを今大会にぶつける

女子注目選手/藤原桃萌 昨年7月手術 1年ぶりの実戦

 ついに、藤原が帰ってくる。昨年7月に左膝前十字靱帯の手術を受けた。腱を太ももから移植。「手術後の半年は痛みとの戦いだった」と振り返る。今回のJFKOに出るために逆算して、手術の日程を前倒しした。実戦は昨年の大会以来となる。

 第4回、第5回大会で準優勝。将来を嘱望され、長く福岡支部の女子重量級をけん引する存在だった。ただその後は左足首の故障など、けがに苦しんだ。今回は1年ぶりの大会出場だけに、スタミナや実戦勘など不安もあるが、組手をできる喜びがそれを上回る。

 以前は、試合に出ることが当たり前だった。けがを経て、今は「それはとてもありがたいこと」だと話す。手術やリハビリを乗り越えたことで、精神的に強くなれたと自身でも感じている。それは、ここ一番の勝負所でもきっと生かされるはず。「世界選手権の権利を取ります」。短い言葉に決意を込めた。

網川が得意の膝蹴りを駆使して上位進出を目指す

【女子】期待の成長株・網川来夢ら福岡支部から3人

 福岡支部からの女子のエントリーは3人。重量級の藤原、中量級の網川来夢(19)、仁科つむぎ(18)が挑む。網川は昨年9月の全世界ウエイト制大会軽重量級で3位に入るなど、成長株の一人。171センチの長身を生かした膝蹴りが得意で、元々潜在能力は高かった。「膝蹴りにつなげる技を練習してきた。世界大会の権利を取れるように頑張りたい」と話す。


 福岡支部の出場選手は次の通り。
    ◆男子◆
 【重量級】(90キロ以上)亀山真、堀瞬
 【軽重量級】(80キロ以上90キロ未満)江口雄智、多田成慶
 【中量級】(70キロ以上80キロ未満)岩瀬勇翔、藤田春人、小林春貴
 【軽中量級】(60キロ以上70キロ未満)大坪裕希、緑武士、宇田川春稀、山本隆誠、前平斗真
 【軽量級】(60キロ未満)栄丈太郎、松永颯太、川端総信
    ◆女子◆
 【重量級】(65キロ以上)藤原桃萌
 【軽重量級】(59キロ以上65キロ未満)なし
 【中量級】(54キロ以上59キロ未満)仁科つむぎ、網川来夢
 【軽中量級】(50キロ以上54キロ未満)なし
 【軽量級】(50キロ未満)なし

(2023/5/18紙面掲載)

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