【フルコンタクト空手】4年に一度の世界大会 亀山真、江口雄智、多田成慶ら 新極真会日本代表 福岡支部から男女8選手参戦/全世界空手道選手権大会14、15日開催

第13回全世界空手道選手権大会(2023年10月14日、15日、東京体育館)

 フルコンタクト空手の世界王者を決める「第13回全世界空手道選手権大会」(新極真会主催)が14、15日、東京都渋谷区の東京体育館で開催される。4年に一度、体重無差別で争われる戦い。フルコンタクトの組手には、各国代表の男子132人、女子37人がエントリー。今回は型も初めて行われ、男子25人、女子26人が出場を予定している。

 新極真会福岡支部からも日本代表の男女8選手が参戦。男子組手に亀山真(31)、江口雄智(27)、大坪裕希(24)、多田成慶(23)、女子組手に藤原桃萌(24)、網川来夢(20)、男子の型に渡辺大士(44)、山野翔平(40)が日の丸を背負って大舞台に挑む。

【男子組手】

空手で生きていく覚悟を決めた多田が世界に挑む

多田成慶 台頭著しい福岡支部の新エース

 世界各国から集まった選手たちの中で、最も強いのは誰か。世界一をかけた戦いの火蓋が切られる。福岡支部の日本代表で一番の注目選手は、台頭著しい新エース多田だ。昨年のウエイト制世界大会軽重量級で準優勝し、今年5月の全日本フルコンタクト空手道選手権(JFKO)軽重量級で2連覇と、勢いに乗る。

 勤めていた製パン工場を辞め、8月から空手の道を究めるために指導員となった。福岡支部長も兼ねる新極真会の緑健児代表からは「俺が世界大会でどんな気持ちでいたのか、どんな特訓をしていたのか、全てを教える」と激励を受けた。自分に期待してくれる喜びと、その思いに応えられるのかという不安が入り交じった。

 「不安を拭い去るには稽古しかない」と自らを奮い立たせた。世界レベルの大会では、身長が高く力も強い国外選手に勝たなければならない。出稽古で福岡支部を訪れているデンマーク代表のサミュエル・ハラスを相手に、海外勢を想定した組手にも力を注ぐ。「一戦一戦を大事に勝ち進む」と意気込む。

渡辺の背中を追いかけてきた亀山も、今では先生と呼ばれる存在だ

亀山真 集大成全てぶつける

 長らく重量級のエースとして福岡支部をけん引してきた亀山は、「12年越しの思いがかなう。恐らく現役最後の世界大会になる」と語る。

 今大会には、特別な思いがある。その理由は、型で出場する渡辺の存在だ。同じ鹿児島県・奄美大島の出身で、憧れの先輩だった。高校卒業後、空手に専念するために福岡へ出てきたが、その年の2011年に渡辺は世界大会に挑んだ。亀山は日本代表に選ばれず、その後、2人が同じ世界の舞台に立つことはなかった。自身の集大成となる今大会で、亀山はこれまで培ってきた技の全てをぶつける。

外国人選手との対戦を想定し、5キロ増量した江口

江口雄智 前回大会から大きく成長

 3大会連続の出場となる江口の戦いぶりも注目される。19歳の若さで世界大会に初めて出場。前回の大会では7位入賞を果たし、「4年前に出場した自分と、今ではパワーが明らかに違う」と、体重も5キロ増えて自信をのぞかせる。

今年のJFKO軽中量級で準優勝を飾った大坪

大坪裕希 さらなる飛躍を

 大坪も、昨年のウエイト制世界大会軽量級で3位に食い込んでおり、今後の飛躍が待たれる一人だ。上位進出を目指す今大会に向けては、「ウエイト制と無差別級ではレベルが全く違う。日本人同士で当たるまで負けないことが最低条件」と言葉に力を込める。

 1975年の第1回大会から男子は、これまで日本代表が王座を守り続けている。第11、12回大会で連覇した島本雄二が出場しない中、日本代表の真価が問われる。


【女子組手】

全九州大会を制して勢いに乗る藤原

藤原桃萌 ケガから完全復活

 女子の組手で、活躍が期待されるのは、福岡支部所属の藤原と網川だ。

 藤原は、8月の全九州空手道選手権大会を制し、けがからの完全復活を遂げた。4年前に出場した世界大会の時よりも勝利への執念が増し、下突きの精度も上がった。今は接近戦での打ち合いを想定して、下段回し蹴りの強化に力を入れる。「練習してきたことが身になっている実感がある」と意気込む。

日本代表の誇りをかけて、打倒海外勢を誓う網川

網川来夢 闘志燃やす

 網川は、昨年のウエイト制世界大会軽重量級で3位入賞。全九州大会では結果を残せなかったが、世界大会に向けて新たに気付いたこともあった。日本代表のプライドを胸に 、「自分が入ったブロックからは、海外選手を絶対に勝ち上がらせない」と闘志を燃やす。


【男子型】

渡辺の挑戦は、若手の選手らに大きな希望を与えている

渡辺大士 再び表舞台へ

 全世界空手道選手権大会で、今回初めて採用される型部門。その日本代表として、福岡支部から出場する渡辺と山野が優勝を狙う。

 渡辺は今大会、型の日本代表男子主将を務める。組手では、第8回から3回連続で世界大会に出場した実績を持つ。けがの影響で、2013年の全日本ウエイト制大会を最後に現役を引退。両腕には今もプレートが入っており、組手はもうできないという。

 道場の子供らに空手を教える日々を送っていたが、選手としてまだ燃え尽きていない部分があった。世界大会で型が始まると知り、世界の舞台を再び目指す気持ちが高まった。「もう1回、挑戦していいですか」。緑代表に頭を下げて、型での現役復帰を決めた。

型の美しさに磨きをかける山野

山野翔平 日本の型の素晴らしさ 世界に伝える

 一方、山野は、組手のカラテワールドカップ軽量級で4位、21年に開催されたカラテドリームフェスティバル型部門(個人型男子35歳以上)で優勝している実力者だ。「日本の型は素晴らしいと言われるものを披露したい」と気合が入る。

(2023/10/4紙面掲載)

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