【フルコンタクト空手】多田成慶 準V&亀山真 3位 福岡支部2選手表彰台へ/全日本空手道選手権大会

第53回全日本空手道選手権大会(2021年12月12日・エディオンアリーナ大阪)

 フルコンタクトの男女の日本王者を決める「第53回全日本空手道選手権大会」(新極真会主催)が12日に大阪府のエディオンアリーナ大阪で開かれた。体重無差別で争われる最高峰の大会には、流派を超え男子79人、女子46人が集った。福岡支部からは男子10人、女子3人の計13人がエントリー。多田成慶が昨年に続く快進撃。強豪を次々と破り、準優勝した。5月のJFKOの重量級を制した亀山真が3位入賞。11日に同会場で行われた、ジュニアからシニアに分かれ各部門の日本一を決める「カラテドリームフェスティバル2021」では、福岡支部は団体準優勝と健闘した。

決勝まで勝ち残った多田。最後まで気力を振り絞って戦った

多田成慶 昨年に続く快進撃

王者相手に全力 自分のスタイル貫く

 決勝戦。勝敗を告げる白い旗が5本上がった。敗者となった多田はしかし、やり切ったという表情だった。「少し悔しさもありましたが、今持てる力は出し切れました」。会場にわき起こった大きな拍手は、勝者の入来建武だけでなく、最後まで力を振り絞って戦った多田にも降り注いでいた。

 重量級の入来は過去2度全日本を制している堂々のV候補。軽重量級の多田とは身長で10センチ、体重で7キロの差がある。それでも臆することなく、前に出る自分のスタイルを貫いた。突き、下段蹴り。互いの闘志がぶつかり合った。残り30秒。入来のラッシュ。最後は王者のパワー、技術に屈した。「とても力の差を感じました」。多田は完敗を認めた。

稽古に耐えた自信 V候補や重量級も破る

 それでも誰がここまでの快進撃を予想しただろう。準々決勝では、V候補の加藤大喜に延長の末、勝利した。昨年の準々決勝でも対戦し敗れた相手だったが、見事に雪辱した。「昨年は心が折れてしまった。今回はあきらめずに戦えた」。1年間、厳しい稽古に耐えてきた自信を力に変え、成長を示した一戦だった。

 勢いそのままに、準決勝では重量級の渡辺優作に勝利。今回の決勝進出で、昨年の6位がフロックではないことを証明した。JFKO日本王者の亀山真や江口雄智ら層の厚い福岡支部でもまれたこともレベルアップの要因だ。緑健児新極真会代表兼福岡支部長も「持って生まれた体の強さがある。素直さもあり、力、技、心をもっと磨けば、頂点を狙えるところまできている」と賛辞を惜しまなかった。

(左から)準優勝の多田、優勝の入来、3位の亀山

「いつかは世界チャンピオンに」

 昨年は「日本王者になりたい」と話していたが、今は「いつかは世界チャンピオンを目指したい」と上方修正。控えめながらも「世界」の2文字を口にした21歳。これまで通り、おごらず、ひたむきに。黙々と稽古に励む。(加藤 博之)

【多田成慶の成績】 ▼2回戦 ○5-0長野義徳(兵庫中央支部) ▼3回戦 ○5-0志村朱々璃(総本部道場) ▼4回戦 ○5-0岡田侑己(和歌山支部) ▼準々決勝 ○0-0、4-0加藤大喜(愛知中央支部) ▼準決勝 ○4-0渡辺優作(世田谷・杉並支部) ▼決勝 ●0-5入来建武(東京城南川崎支部)

準決勝で気迫を前面に押し出し、入来を攻め立てる亀山

亀山真 気迫でリベンジ 他流派の4強入り阻む

準々決勝で190センチの後藤破る

 5月のJFKOに続く「2冠」を狙った亀山は3位に終わった。「優勝を狙っていたので悔しいですね」。試合後の第一声は本音だろう。それでも準決勝で入来に敗れた後は、気持ちを切り替え3位決定戦に臨んだ。左膝を準決勝で痛めていたが、渡辺優作を圧倒し勝利を収めた。

 亀山らしい、気迫あふれる戦いを披露したのは準々決勝だ。V候補の一角に挙げられていた後藤優太と対戦。190センチと長身でその圧倒的な攻撃力が持ち味の相手だが、一歩も引かない。強烈な突きや下段蹴りを繰り出し、本戦で一気に決着をつけた。

 「以前対戦して負けたことがあったので、リベンジできてよかったです」。他流派を勝ち上がらせるわけにはいかないという気持ちが上回った。

JFKO制覇自信

 JFKOの優勝は自信になったことは間違いなく、勝ち上がりにも余裕が感じられた。来年の世界ウエイト制大会の日本代表にも決まっており、「もっとパワーが欲しいし、スピードも。試合の駆け引き、うまさも磨きたい」。貪欲に、さらに高みを目指す。

【亀山真の成績】 ▼2回戦 ○5-0西岡憧之介(大阪神戸湾岸支部) ▼3回戦 ○5-0吉沢穂高(東京城南川崎支部) ▼4回戦 ○一本(中段前蹴り)渡辺和志(世田谷・杉並支部) ▼準々決勝 ○5-0後藤優太(空手道MAC) ▼準決勝 ●0-5入来建武(東京城南川崎支部)

「この一戦にかけていた」という緑。3回戦で田中に勝利した瞬間、何とも言えない表情で喜びを表した

緑武士 死闘制して雪辱果たす

自身初の世界戦代表選出

 最後は気持ちでわずかに上回った。田中裕也(山田道場)との3回戦。本戦0-1、延長0-0と決着がつかず、再延長にもつれ込んだ。昨年の3回戦でも対戦し、中段突きをもらい一本負けを喫していた相手。それだけに、この一戦にかけていた。

 大会前にしっかりと映像などで研究。ガードを固めて自分の距離を保ち、突きや蹴りを繰り出す作戦通りの展開に。稽古量も十分に積んでおり「スタミナにも自信あった」。判定は5-0。互いに譲らない熱戦となったが、最後の最後で勝敗を分けたのは、勝ちたい気持ちに他ならない。

 4回戦では、重量級の多田大祐(白蓮会館)に下段蹴りで一本負けを喫したが、来年の世界ウエイト制大会の日本代表に選ばれた。自身初の世界大会。「チャンスをものにしたい。悔いの残らないように」と意気込んだ。


全世界ウエイト制大会に福岡支部7人選出

 2022年9月にポーランドで開かれる「第7回世界ウエイト制大会」の最終選考会だった全日本が終わり、日本代表男子24人、女子12人が決まった。JFKOですでに出場権を獲得していた重量級の亀山、軽重量級の江口に続き、多田、緑らが新たに選出された。

 福岡支部から日本代表に選出されたのは下記の通り。

 大坪裕希(男子軽量級)、緑武士(同中量級)、江口雄智、多田成慶(同軽重量級)、亀山真(重量級)、網川来夢(女子軽重量級)、藤原桃萌(同重量級)

(2021/12/18紙面掲載)

※新聞紙面(12月18日)では福岡支部から出場した他選手の記事のほか、ドリームフェスティバルの同支部入賞者名を掲載  <バックナンバ-お買い求め方法

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