【高校野球】宇部鴻城 164センチ小さなエース浅田が完封の大仕事/山口大会決勝

◆第105回全国高校野球選手権記念山口大会 ▽決勝 宇部鴻城7-0南陽工(27日・山口マツダ西京きずなスタジアム)
決勝で完封した宇部鴻城の浅田

緩急使い内野ゴロに仕留める

 身長164センチの宇部鴻城の右腕・浅田が、決勝のマウンドで大きく輝いた。南陽工を5安打に抑えて完封し、チームを4年ぶりの甲子園へ導いた。

 サイドスローから投じる直球は、130キロ台前半だが、抜群の制球力で凡打の山を築いた。全27個のアウトのうち、17個が内野ゴロ。「緩急を使い、低めで打たせて取る投球ができた」と満足そうに振り返った。

 3年生部員22人の中では、3番目に小柄で、投手では最も低いという。それでも尾崎公彦監督(53)は「自分に厳しく、投手陣では一番頑張っている。実力で背番号1をつかんだ」と、野球に取り組む姿勢を高く評価し、全幅の信頼を置いている。今大会の組み合わせが決まった時点で、浅田に準決勝、決勝のマウンドを託すと告げていた。

 現チームは昨秋と今春の山口大会、今春の中国大会と、3度も決勝に進出しながら、全て準優勝止まりだった。浅田がこの3大会の決勝で投げたのは、春の山口大会でのリリーフのみ。「夏の決勝は自分が抑えたかった。誰よりも走り込みをしてきたし、(決勝に向けて)しっかり調整ができていた」と浅田。優勝投手となり、仲間から胴上げされ笑顔がはじけた。

打席で大声を出し気合を入れる宇部鴻城の大川

「大声野球、全力疾走」相手に圧力かける野球

 攻撃でもナインのプレーに気迫があふれていた。チームは「大声野球、全力疾走」をテーマに掲げており、打席では1球ごとに大きな声を出して気合を入れる。大川快龍主将(3年)は「自分や周りを奮い立たせ、相手投手に向けて、この1打席にかける思いをぶつけている」と言う。

 各打者が大声で気合を前面に出し、4点を先取した2回には、四球で好機を作り、暴投も誘って得点を重ねた。尾崎監督は「走攻守すべてで相手に圧力をかける野球ができた」と目を細めた。 (弓削 大輔)

(2023/7/27紙面掲載)

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